ハワイ移住に失敗!飲食店起業を夢見た若者の現在は?

私の同級生が、ハワイで飲食店起業をして数年が経つ。非常に忙しく働きまわっていたが、つい数か月前、「ハワイからシンガポールに引越しすることになりました!」という彼の報告がフェイスブックで「いいね!」を集めていた。喜ばしいことのようだが、1年前には「ハワイで成功して永住したい!」と息巻いていたのに何があったのだろう…。気になったので話を聞いてみた。

苦しくも兆しが見えたハワイでの居酒屋ビジネス

ハワイで起業をしていた私の友人…ここではI君と呼ぼう。I君の知人がハワイで会社設立し、そこに立ち上げメンバーとして加わる形で彼はハワイへと渡った。確かI君が25歳くらいの頃だったんじゃないかと記憶している。まずは現地のロコ、そして日本人を相手にする弁当屋さんを立ち上げた彼は、朝も晩もなく忙しく働いた。結果、お店は徐々に軌道に乗ってきて、スタッフの数も増えてきた。

労働ビザも取得し、帰国は年に1~3回

会社は小さいながらも手続き周りのことはしっかりしてくれるところだったようで、労働ビザを取得できたようだ。一年のほとんどをハワイで過ごし、日本に帰ってくるのは年に数回だった。英語力もどんどん上達していき、ハワイに飲食店を展開し、その後、ロスやニューヨークにも拡大するんだ!と目を輝かせていた。

ついに居酒屋をオープン!

ハワイで働き始めて2~3年経ったころだろうか?ついに念願だった居酒屋をオープンさせた。ワイキキのホテル街からは車で20~30分かかる、かなり辺鄙な場所だったが、高級感のある「和」の佇まいを大切にしており、日本から著名人も来店しているとのことだった。私自身彼の発展を非常にうれしく感じ、ハワイまでお祝いに駆けつけたのだが、お店は超満員だったことをよく覚えている。

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お店で焼き鳥を焼いてくれたおばちゃんは、ハワイに住んで20年近くになる歴戦のツワモノで、高校生の息子がいると言っていた。ハワイ人だった夫とは別れて15年以上経ち、家庭を守るために昼は別のアルバイトをし、夜はここの居酒屋で働いているんだと話してくれた。ハワイでの生活も楽ではない。特に昔から社会保険などを支払っている日本と違い、永住権もない日本人にセーフティネットはあって無いようなものなのかもしれない。離婚や死別、解雇などで社会的な立場が弱くなると特に大変なんだなと考えさせられた。

経営陣との意見の不一致

ビジネスもプライベートも順調そうに見えた彼が、どうしてハワイを離れ、シンガポールに行くことになってしまったのだろうか。フェイスブック上では栄転のように見せていた彼だが、私と行った飲み屋でポツリポツリと本音を話してくれた。

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弱い「労働者」の立場

日本でもブラック企業はたくさんある。しかし、相談できる知人友人や、弁護士といった専門家、そして労働監督署という行政機関が、少なくともある程度身近に存在していることは間違いない。一方でハワイの労働環境において、そういった相談相手は、そもそもいないに等しい。ハワイの仕事探しは給与が下がるケースも多いため、経営陣と喧嘩して「いやなら辞めろ」と言われてしまうともう黙るしかなくなってしまうのだ。

なぜ彼は経営陣と仲たがいしたのか?

この記事を読んでいるあなたも、もしかしたら「ハワイでビジネスをしたい、起業したい」と考えているかもしれない。その際、きっとパートナーを必要とするだろう。スタート当初はビジョンや人間関係だけで問題ないのだが、徐々に拡大して来たり、逆に縮小したりすると途端に問題が出るようになる。
彼の場合は、店舗も拡大し、人も増えてきたのに、彼のポジションや条件が一切変わらないことに不満を持ったことが原因だった。彼の力不足だから認められなかったと言えばそれまでなのだが、労働条件に文句も言わず、高いモチベーションで長時間働いてくれる彼のような人材は、経営陣からしたら非常に便利なのだ。その便利な彼を、役職を上げたり仕事を変えたりするくらいなら、今のポジションでもっともっと長時間働いてほしい。経営陣はそう考えたようだ。
また、経営陣からしたら彼では物足りなくなったのかもしれない。店舗経営が順調に拡大してきて、融資や、場合によっては出資も受けただろう。人材の質も昔より上がり、経営コンサルタントなどとも付き合うようになっていったそうだ。そうすると、ロスやニューヨーク、ハワイでの2号店、3号店の話などは、I君ではなく、経営コンサルタントにしていたほうが楽しくなる。大きな絵を描けるようになるだろう。

なぜ彼はシンガポールを選んだのか?

ハワイに移住し、永住したいと語っていたI君が、なぜシンガポールに行ったのか。それは転職先の会社が彼の2つの点を評価してくれたからだ。1つ目が英語を話せるスキル。2つ目が土地に縛られず挑戦するアグレッシブさだ。ハワイで店舗の立ち上げをした馬力が買われたのだ。シンガポールでは全くの別業界で、今までの経験を活かすというよりは、未経験で飛びこむ形になった。それでも馬力があり、切り開く力がある人材は世界中で貴重なのだ。

本心ではハワイに戻りたい…

ただし彼は「世界を股にかけるビジネスマン」になりたかったわけではない。ハワイに住みたかったのだ。ハワイで飲食店ビジネスを成功し、経済的に不足がない状態で、常夏のハワイを満喫したかったのだ。もちろんI君はハワイ永住の夢をあきらめてはいない。シンガポールでビジネス経験を積んで、またハワイに殴り込む気でいるのだ。一旦は移住・永住に失敗したものの、彼の目はすでに未来に向いていた。

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ハワイでビジネスをする際の注意点は?

そんな彼に、ハワイでビジネスをする際の注意点について聞いてみた。彼曰く、スタート時の取り決め、契約を厳密に行うこと、とのことだった。辞める時はどんなケースが考えられるのか、その場合、辞める側、残る側がどのように相手に対して責任を取るのか、文書に残して合意をしておくべきだったのだ。日本はあまり契約書を作る文化がなく、抵抗がある人も多いだろう。しかし、相手を信頼しているからこそ、契約書を作成しても問題がないはずだ。文書にされるとまずい、後々自分だけうまい汁を吸えないかもしれない…だから契約書を作りたくない、という相手とは、どんなにうまい話であっても、いや、うまい話だからこそ乗るべきではないだろう。

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